(きーすとーん70号より抜粋)
 札幌建築鑑賞会・札幌軟石文化を語る会 合同企画
「札幌軟石再発掘作戦」開始から10周年
 
昔日の南一条通の面影を伝えていたが・・・
 札幌軟石の物件が市内にどれだけあるか 調べてみよう−
札幌建築鑑賞会が「札幌軟石文化を語る会」(岩本好正 代表)と共同で進めてきた《札幌軟石発掘大作戦》は、2005年の活動開始以来、本年で10周年を迎えることになりました。
 この間を振り返りますと、中央区を皮切りに東区、豊平区、北区、南区、白石区、西区については“軟石隊員”で各区内を手分けし、2012年まで毎年  悉皆的に探索してきました。 2013〜2014年は厚別区、清田区、手稲区について、ポイントを絞って軟石物件に当たるとともに、広く当会会員へ情報提供を呼びかけました。 また、過去に調べた中央区などの物件のフォローアップも重ねました。

 2015年は いわば活動の集大成として、これまでの成果の発表を計画しています。 詳細は小紙次号でご案内いたします。
路線バスの待合所に再利用された
旧定山渓鉄道「豊平」駅舎の礎石
2008年開校の札幌大通高校の壁にも!
併せて、会員の皆さんにお願いです。 当会では、引き続き軟石物件の情報を募集しています。 建物だけでなく、門柱、塀、煙突、石畳、灯篭、狛犬など札幌軟石が用いられたあらゆるものが対象です。 「軟石の建物が以前あったが取り壊されたらしい」、「軟石を使った物件が新しくできた」、「軟石の建物が別の使われ方をしている」など、新たに見聞きした事柄についてもお寄せください。 情報をお持ちの方は、ハガキ・ファックス・電子メールのいずれかで、氏名・連絡先・軟石の所在地や形状 を明記のうえ、当会までお知らせ願います(宛先は(連絡先)参照)。

 ●トピックス 勇崎恒次郎商店の石蔵が復元されて大学施設に!

 中央区北1条東2丁目の「勇崎恒次郎商店」石蔵について、一年前の小紙第67号で解体工事の状況をお伝えしたところです。 その後、新たな集合住宅の建設が進み、このほど『札幌まち家 勇崎』が竣工。併せて石蔵も復元され、『北海道教育大学 アーツ&スポーツ文化複合施設』(愛称「HUG(ハグ)」)として活用されることになりました。 今後、学生の作品展や演奏会、健康教室などが催される予定です。
 札幌軟石の蔵は、1931(昭和6)年に建てられ、輸入バナナなどの収蔵庫として使われました。 近年はレストランや喫茶店に再利用され親しまれていましたが、建物の耐震調査の結果をふまえ、補強を施したうえで復元されたのです。 勇崎さんのお話では、元の軟石をほとんど用いており、建物の位置もまったく同じだそうです。 そして「十○」の 屋号 と「青果輸出入問屋」の文字も寸分違いません。 また、内壁には往時の木製看板なども掛けられ、建物の来し方を物語っています。

 
かつての外観そっくりに復元された
『札幌まち家 勇崎』の石蔵
この石蔵は 札幌における歴史的建造物再生の先駆的好例であり、《札幌軟石発掘大作戦》を展開してきた私たちにとって喜ばしい出来事です。 所有者、設計者、施工者の“心と技”に、深く敬意を表します。
 『北海道教育大学 アーツ&スポーツ文化複合施設』への入場は無料、開館は正午から午後8時まで、火曜定休。 事業企画などの詳細については、同施設のホームページをご覧ください。

http://www2.hokkyodai.ac.jp/iwa/user/?uid=h_universal_gallery
                杉浦正人(札幌建築鑑賞会代表)



 

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