(きーすとーん71号より抜粋)
REPORT --- 「軟石まつり」で札幌からではの素材をアピール
@ 札幌軟石まつり IN ぽすとかん (6月5〜28日の金・土・日曜日) 計12日間開催。例年同様、石工職人による石割り実演、石山タウンウォッチング、体験ワークショップ、パネル展示が行われたほか、各地で産出する軟石の標本を鑑賞しながら語らう場も初めて設けました。 さらに、「石山振興会館」が今年、「定山渓鉄道 石切山駅」として使われていた昭和20年代の姿に復元されたことから、“札幌軟石と定鉄”をテーマにした セミナーも開催しました。 また、利用者に札幌建築鑑賞会作成のオリジナルカードを進呈するという、軟石建物を活用したカフェやギャラリー9店舗との連携企画も好評でした。 A札幌軟石まつり IN 北海道開拓の村 (8月7・8・9日) 「北海道開拓の村」での開催は初めての試みです。 従来のイベント内容に加え、村内の軟石建物を巡るスタンプラリーや、学生ボランティア(東海大学・北翔大学・酪農学園大学)の協力を得て、軟石のピザ窯・軟石のバーベキュー炉を用いた屋台の出店もありました。 また、小樽市総合博物館学芸員の大鐘卓哉さんによる軟石建物ガイドツアーも同時開催され、軟石の魅力を満喫できる3日間となりました。 佐藤俊義(札幌軟石まつり実行委員会スタッフ) TOPICS --- 石材の運搬にかかわる新史料を確認 『2015札幌軟石まつり』期間中に、市民から一つの情報が寄せられました。 「石材の運搬に関する図面がある」というものです。 「札幌軟石文化を語る会」の岩本好正さんとともに、図面の所有者宅を訪ねました。 見せていただいたのは、「石山石材運搬軌道布設個所附近一般圖」のほか 7枚の設計図でした。 定山渓鉄道石切山駅と 豊平川対岸の硬石山を結ぶ 軌道橋の平面図や 断面図が描かれています。 年月は記されていませんが、「一般圖」に書かれている地名などから、昭和戦前期の作成と思われます。 1/25,000地形図「石山」(1950年)には、この軌道が描かれています。 今回、硬石山側の地元の方への聞き取りからも、この軌道橋が 戦前期に架けられたことが ほぼ裏付けられました。 南区川沿18条にお住まいのSさんによると、千歳に飛行場を造るため 硬石山で採った石を 蒸気機関車で運搬したとのことです。 『北海道史略年表』によれば、1937(昭和12)年に海軍が飛行場の建設に着手しています。 軌道橋は、建設資材の輸送を強化する必要に応じたものだったのでしょう。 この図面を所有していたM家は、札幌で明治期から建築に携わっていた石材業者です。 8枚の古図面から、歴史の一端を垣間見ることができました。 図面は後日、M家から札幌市公文書館に寄贈されました。 なお 「石山石材運搬軌道」図面については、個人ブログ「札幌時空逍遥」の記事中(6月15・16・22日)でも詳しく紹介しております。 杉浦正人(札幌建築鑑賞会 代表) |
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