(きーすとーん66号より抜粋)
これまでの《札幌軟石発掘大作戦》の補足調査として実践した“再発掘作戦”および 厚別区・清田区・手稲区の軟石情報の収集が、2013年の主な活動でした。 このうち、今回は手稲駅周辺エリアと 手稲区・石狩市の境界エリアの2地区を探索し、新たに28の軟石物件を発掘しました。 10月20日、手稲駅に集合した17名は、手始めに1899(明治32)年創建の「手稲神社」を訪ね、鳥居や灯篭、狛犬など建物以外の工作物25件を確認しました。 なお、本殿の隣には、1911(明治44)年、前田農場への皇太子(後の大正天皇)行啓に際して建てられた御便殿(ごべんでん)が移築されており、宮司さんのご厚意で 現在は神輿殿となった内部を拝見させていただくなど、軟石発掘とは一味違う“ふるさと再発見”もできました。 その後、手稲駅から路線バスに乗って市境界に当たる手稲前田地区へと向かい、さっそく2棟の軟石造の牧場サイロを発見。 どちらもすでにサイロとしての役目は終えていましたが、うち1棟は 手作りソフトクリームの店「池端牧場ミルクフレンド」の広告塔(文字通りの…)に活用されていました※1。 さらに 店舗自体も 古い軟石を用いた元牛舎の改築物件というもので、計3件の軟石建物を追加することができました。 今年度の《札幌軟石発掘大作戦》は、これにて終了となります※2。 そして、来年度は軟石を探し始めてから10年目という節目の年です。 引き続き、軟石隊員の皆さん、ご協力をよろしくお願いします。 佐藤俊義(札幌軟石発掘大作戦スタッフ) ※1 池端牧場は現在おもに石狩市樽川地区で営農されています。 ※2 通信員から寄せられた軟石情報の一部をP.5に掲載しました。 ◆札幌軟石再発掘作戦「東区タマネギ街道編」追記
軟石再発掘作戦の第一弾として 7月に東区を合同調査した際、確認できた軟石物件の一つに「テナント募集」の看板がかかった 元タマネギ貯蔵倉庫がありました。 新たな借り手がないまま解体される事例を少なからず見てきただけに、その行く末が案じられましたが、10月下旬、子どものための遊戯施設として再生! 館内は笑顔と歓声にあふれ、築50年超の建物も幸せな余生を送っているようでした。〈編集者 11月調べ〉
軟石秘境を探検してきました! 清田区有明と真栄、厚別川の上流です。軟石物件のウワサを頼りに、バスを乗り継いで行きました。 クマ除けの鈴を鳴らしながら、有明神社で鳥居など6件、近くの有明小学校で古い門柱1件をまず確認した後、真駒内御料札幌線を約1km下ったところで石蔵を発見。 元 水田農家のTさん宅で、蔵は1954(昭和29)年に雑穀蔵として建てられた
Tさん宅から約2km下流へ。ところは真栄、Yさん宅の腰折れ屋根の納屋2棟が軟石です。 Yさんによると、1棟は築60年余、もう1棟は築70年余で、この軟石も近くの山で掘られたものとか。 さらに700m下って、Sさん宅の納屋。 Sさんは真栄開拓の草分けで、水田とリンゴ栽培をされていました。 リンゴを保管していた室(ムロ)も軟石で、今は漬物や野菜を入れています。 「温度が一定に保たれるので、ちょうどいい」そうです。 ここの軟石もまた、すぐ近くの産であると うかがいました。 どうやら、私がお会いした皆さんの言われる石切場は、南区の石山(穴の澤)のことではなく、厚別川の上流域を指すようです。 もしや 札幌軟石の兄弟? そういえば、石の色合いも見慣れた札幌軟石よりは少し赤みがかっています。 この軟石の正体を突き止めるべく、さらに探索を続けました。〈次号へつづく〉 杉浦正人(札幌軟石発掘大作戦隊員) ■通信員からの軟石情報 |
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