再生建物案内  バックナンバー 2  

  食事と酒 梁山泊(りょうざんぱく)       「きー すとーん」37号 掲載
 
  札幌市中央区(中)北2条西17丁目 東向    電話 (011)631-1651

 このお店の開店を知ったのは昨年の秋半ば。 近代美術館北側の見慣れた民家でした。 ああ、お店になったんだ、昭和40年代に建てられたのかな、それにしても立派な栗の木…。 中に入ると、使い込まれた感のある建具と柱に歴史のかけらを見た気がしました。
 この夏、戦後すぐの地図と昨年の地図を何気なく見比べてびっくり。 苗字が同じ「谷口」さん。 気に掛かりお話をお伺いしてみると、お店の主人、谷口信二さんの生家とのこと。 建物はお店になる前に2回増改築されていて、一番古い部分はなんと大正期。 新築当時は下見板貼りに上げ下げ窓、その頃から近くでは珍しい2階建てだったそうです。
 6人兄弟の成長を見守った柱の傷は、今ではお酒と食事を楽しむ大人たちを優しく見つめています。(往田協子)

 

  ダイニングキッチン 十二の月          「きー すとーん」36号 掲載
   札幌市北区北25条西8丁目3-15    電話 011-758-7870

  再生建物のお店がオープンした時、さてこの建物は以前どんな建物だったのだろうと考えるのは楽しいものです。 どんな生活をしていたのだろう。 どこが、どう生かされ、変わったのか。 それを比べるのも楽しい。
 写真(左)は今から約2年前の姿です。 市村太裕さんに出会うほんの少し前です。 1年3ヶ月かけて基礎工事からやり直し、1階と2階を一部増築しました。 部屋の間仕切りを払い、天井をはずし、床も少々下げ、店としての空間を確保。 天井の梁や柱、窓はそのまま生かしました。 ほとんどは市村さんとご両親の手によるものです。 2003年12月1日、たっぷりの愛情と時間をかけて生まれ変わりました(写真中・右)。
 「表通りから一本入ったところで、店をしたかった」というだけあって、まわりはマンションと住宅。 『さっぽろ再生建物案内』p.68掲載のカレーショップ「Lavi Lavi」がすぐ近くにあります。 実は、上の写真は出版用の写真を撮るため、スタッフで店めぐりをしたときに偶然撮ったものです。 随分古そうな木造民家。 こんなたたずまいの家,以前はたくさんあったけど、もう珍しくなったし、今撮っておかないと間もなくきっと取壊されて…と思いシャッターを切りました。
 現在は、洋食(イタリアン)ベースの、気軽に訪れることのできるレストランです。 店内には市村さんが骨董店などで買い集めてきた小物達が、出番を得て客を迎えてくれます。 建物と同じく、ていねいに調理され提供される料理たちを楽しんでください。中村祐子(スタッフ)


  れすとらん 独楽(こま)            「きー すとーん」35号 掲載 
  札幌市中央区
26条西14丁目1−8  電話 011-531−0178

 緑の藻岩の山並みを背景に、築40年、2戸で1棟の民家を改装して生まれた瀟洒なレストランです。
 かつての2戸建の面影は、正面に並ぶ二つのドアに残っています。 その一つは今、飾り窓に変身していますが。店内は、古い建物の雰囲気を生かす様々な工夫がこらされています。 1階は廊下をはさむ2部屋、2階は間仕切壁をはずしたワンフロアーですが、古い柱はいずれもそのまま残され、1階の天井も昔風のスタイルのままです。 電線ケーブル巻を利用したテーブルがお店全体に落ち着いた感じを与えています。 幾何学模様の桟をもつ窓からは小さなお庭が見え、木立の中にかわいらしい野の花が。 春先にはキビタキの雛が裏の山から遊びに来ることもあるそうです。
 お店を経営する二人の娘さんとお母さんのやさしい心遣いがあふれているからでしょうか。 いつも私は,特製のボルシチと手作りデザートを楽しんでいます。 菅間 キミ子(会員)


  ぎゃらりー こけもも                「きー すとーん」34号 掲載
   札幌市中央区南11条西23丁目3−16  電話 011−512−6645

三角屋根に集合煙突が付いた可愛らしいコンクリートブロック造住宅です。 昭和30年代後半から札幌で数多く建てられたものの一つでしょうか。 本州暮らしの経験のある斎藤祥子さんが昨年6月、和食器中心のギャラリーに再生させました。 現存するブロック造の住宅は、ほとんどが昭和40年代に建てられた型ですが、こちらはそれよりも小さめです。 無塗装のブロックに赤い屋根が映え、40年以上たった今もシンプルで現代的に見えます。
 「札幌の中央区でこんなに緑豊かな場所があるなんて…」。 出会いを感じ、一目惚れで決めてしまった斎藤さんの感想です。

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